【レポート】Enterprise System クラウド移行最前線〜 SAP/MS/VMware/DB 最新アップデート 〜(AWS-04) #AWSSummit
今回は、2022年5月25 - 26日の2日間で開催されているAWS Summit Online 2022のセッションレポートをしていきます。セッションのサマリーを理解し、興味があるセッションをチェックすることに、ご活用ください。また、セッションのアーカイブも公開されますので、詳細はそちらをチェックしてください。
本記事は、「Enterprise System クラウド移行最前線〜 SAP/MS/VMware/DB 最新アップデート 〜(AWS-04)」のレポート記事となります。
セッション概要
タイトル: Enterprise System クラウド移行最前線〜 SAP/MS/VMware/DB 最新アップデート 〜(AWS-04)
概要: 本セッションでは、Enterprise System として多くの企業でご利用の SAP/MS/VMware/DB on AWS の最新アップデートとクラウド移行のポイントをご紹介します。またエンタープライズ企業のクラウド移行先駆者の事例や大規模クラウド移行時に活用できるAWSプログラムの活用方法も合わせてご理解いただけます。
スピーカー: AWS マイグレーション&モダナイゼーション事業開発本部 部長 栗田 岳史
レポート
はじめに
re:Invent 2020、re:Invent 2021で紹介された内容の紹介
- re:Invent 2020では、総IT資産の4%がクラウドマイグレーションされている
- re:Invent 2021では、総IT資産の5% - 15%がクラウドマイグレーションされている
1年間で10%以上がクラウドに移行されたことになる。残りのIT資産85%ほどがクラウドに移行されていない。今後数年で急激に移行が加速するものと考えている
グローバル企業の先進事例の紹介
- Nasdaq, Inc.
- 2022年から超低遅延で高スループットな証券取引市場をAWSに移行を開始
- 3M Company
- 移行のきっかけはデータセンターの老朽化。その時点で2000を超えるアプリケーション、ストレージが45PBを超える大規模なクラウドマイグレーションを実施
- 現在は、ミッションクリティカルなグローバルな製品サイトをクラウドに移行している
- SCM全体でリアルタイムな在庫が確認できるように対応している
- Johnson & Johnson
- 世界最大なヘルスケア事業
- SAP S/4 HANAに集約したグローバル用ERPとしてAWSの移行を進めている
- 以前は60以上にサイロ化されたERPだった
上記のようなグローバル企業のミッションクリティカルなシステムがAWSに移行し、稼働している。クラウド移行という観点だけでなく、AI/ML,DWHなどと連携を見据えた移行を行っている。
最新アップデート
SAP on AWS
- Amazon EFS Native Replication
- リージョン内またはリージョン間でのレプリケーションが可能(以前はDataSyncの仕組みが必要だった)
- SAPマウントとして利用するパターンで有用な機能。SAPのベーシス運用を考慮して本番環境と異なるリージョンでAmazon EFS Native ReplicationしておけばDRサイトの切替が容易となる
- Amazon CloudWatch for SAP NetWeaver
- Amazon CloudWatch for SAPは以前から提供していたが、ベーシス運用として機能が物足りないところがあった。複数の監視ツールを導入することでまかなえたがツールの使い分けは使い勝手が悪い
- Amazon CloudWatch for SAP NetWeaverは、SAP Net WeaverのABAPのショートダンプ、ERPジョブの失敗または中止、IDOCの監視がCloudWatchで行えるようになった
- 認定試験 - AWS Certificate: SAP on Specialty
- SAPの運用、移行の専門知識の認定としてリリース
- 2022/4/26から日本語の受験が可能
MS on AWS
- Optimization & Licensing Assessment (OLA)
- クラウド移行時のリソース、ライセンス最適化をアセスメント
- オンプレミスからクラウドのリホスト移行に対する課題の対応策
- 現状把握の為、AWSが提供するツールを用いてデータ収集を収集
- 利用状況を考慮したLight Sizingによって適切なサイジング、ライセンス構成をご提案、アセスメント結果(推奨最適化構成)をご案内
- インフラ、アプリケーションのモダナイゼーション
- 単純なリホストで終わらずにリプラットフォーム(コンテナ/マネージドサービス)、リファクタリング(サーバレス/クラウドネィティブ)でシステムを最適化する
- モダナイゼーションによるコストライセンスの削減や運用工数の削減、スケーリングや柔軟性などの効果が期待できる
VMware Cloud on AWS
- VMware Cloud DisasterRecovery
- VMware Cloud on AWSが大阪リージョンで利用可能
- 東京リージョンと合わせて日本国内でDR構成が用意できる
Amazon FSx for NetApp ONTAP
- NetApp ONTAPがFSxサービスの一部として利用可能
- 信頼性はそのままフル機能で利用できる
AWS Backup for VMware
- オンプレミスVMWareおよび、VMware Cloud on AWSからイミュターブルバックアップが可能
- オンプレミスVMWareまたは、VMware Cloud on AWSにリストアが可能
- バックアップのライフサイクルポリシーによってコールド階層の移動を定義も可能
VMware Cloud on AWS Outposts
- お客様ご指定のロケーションに設置可能である為、低いレイテンシが期待できる
- 運用管理はVMware社、AWSが実施する
DB on AWS
- Database Freedom Workshop
- 「データベースの移行はどこから手を付ければよいのか」に課題に対する対応策
- データベースの移行に関する課題、問題に対してワークショップ形式のアセスメントプログラムとして提供している
- アセスメント→ワークショップ→PoCが対象範囲
- パフォーマンスデータの確認(AWR分析)、移行難易度の確認(STC評価レポート)を提示
- Database Migration Accelerator(DMA)
- 「アプリケーションの改修」に課題に対する対応策
- 固定価格でデータベースアプリケーションを変換 ※審査あり
- 事前審査→グレード分け(カテゴリ1〜3はDMAの対象、カテゴリ4、5はDMAの対象外)→DMA Teamが変換作業を実施→納品という流れ
- 注意点としてDMAでは、その他システム連携を含む全体の移行ができない
大規模クラウド移行のご支援プログラム
移行プロジェクト支援の最新版としてAWS IT トランスフォーメーションパッケージ2.0という移行支援プログラムを用意している。
- 評価
- TCO評価
- CO2排出削減量資産
- 現状分析
- 準備
- クラウド推進
- パイロット移行実施支援
- ワークショップなど
- 移行
- モダナイゼーション
- MAPクレジットによるコスト削減
- CO2モニタリング、将来予測
- IT DivisitによるIT資産の買取の仲介
まとめ
最近はグローバルに限らず国内でもクラウドマイグレーションの事例を見ることもあります。冒頭にもあったクラウドマイグレーションの急激な加速に対応できるように紹介されたサービス、プログラムを把握して置きたいと感じました。特にDB on AWSで紹介されていたDatabase Migration Accelerator(DMA)は、条件付きですが移行の決め手の一つになるんじゃないかと思います。